来客にお出しするお菓子の盛り付け 正しいマナーは?

お菓子の出し方ひとつで来客に対する印象が決まってしまう場合もあります。

来客に気持ち良く過ごしていただき、自分も気まずい思いをせずに済むよう、正しいマナーを知っておきたいものです。

この記事では、来客にお出しするお菓子の盛り付けの正しいマナーを紹介します。

来客のお菓子の盛り付け方

来客にくつろいで過ごしていただけるよう、お客さまからの視点を考えながら取りやすいように配慮します。

お菓子と飲み物の置き方

和菓子でも洋菓子でも基本的にはお菓子は左に置きますが、利き手などが配慮できる場合など、臨機応変に置く気遣いも忘れないようにします。

来客が大勢の時には、大きな皿に個包装のお菓子をたくさん盛り付けてテーブルの真ん中に置くと、好みに合わせて取っていただけ、場も華やかになります。

和菓子の場合

お客さまから見て右にお茶、左にお菓子を置きます。

木、漆塗り、陶磁器などお皿の材質は様々ですが、、100%錫製のお皿を使うと和菓子の盛り付けが上品になり、寒天のような生菓子にもピッタリです。

錫製なので自分の好きな形に軽い力でふんわり曲げることができます。

珍しいキラキラと美しいお皿でお出しすることで来客との会話を盛り上げることも期待できます。

桜や桔梗、秋桜などをデザインした華やかなお花のプレートにしてお菓子を盛り付けると、優雅なお菓子の置き方ができます。

お花のプレートは花びらを少し曲げて立体感を出すこともでき、茶托やコースターとしても使え、お茶も優雅に置くことができます。

また、おはぎや柏餅、お団子などのお菓子の盛り合わせには重箱を使うと量を多く置くことができます。

お菓子と飲み物をまとめて1つのお皿に盛り付けて1人分ずつお出しするワンプレートにする場合は、飲み物を奥、お菓子を手前に盛り付けると見栄えが良く、取りやすいです。

和菓子だからといって和の飲み物に決めつけず、例えば紅茶を合わせると和菓子の上品な甘みが紅茶の香りを引き立て、ちょっとしたサプライズもお楽しみいただけます。

洋菓子の場合

和菓子の場合と同様に、お客さまから向かって右にお茶、左にお菓子を置きます。

ショートケーキ(三角ケーキ)をお出しする時は、尖っている方を左に向けます。

1人分ずつお出しするワンプレートの時は、数種類のお菓子をプレートの手前に盛り付け、飲み物を奥に置くと華やかで食べやすい形になります。

その際に、大きめのお皿を使って余白を広くすると、お菓子の見栄えが良い上品な盛り付けにできます。

あえて1人ずつ違う色やデザインのお皿やカップを使うと、カフェ風スタイルを演出できます。

なおコーヒーは深めのカップ、紅茶は浅めのカップを使います。

懐紙の使い方

本格的なお茶の席などでは懐紙を敷いた上にお菓子を置きます。

とくに慶事ではずらすように折り、右下がりになるように置きます。

懐紙は本来、お茶菓子を口に運ぶ時にこぼれないように添えるために使うもので、和紙をふたつ折りにして懐中しておき、茶器を拭いたり口に添えたりして使います。

茶の湯や懐石料理の必需品ですが、一般的にはあまり親しみのないものなので、普段のお菓子の盛り付けにさりげなく使うと、一目置かれるかもしれません。

懐紙には季節を感じられる色とりどりのデザインのものもありますので、本格的な場でなくても気軽に使うことでテーブルを素敵に演出することができます。

また懐紙は口紅を拭いたりナフキン代わりにも使えるので、お菓子とお茶をお召し上がりいただく時に添えると便利に使っていただけます。

漆塗りのお皿でお菓子をお出しする時には、黒文字などでお皿が傷つくのを防ぐこともできます。

懐紙には女性用よりひとまわり大きい男性用もあります。

内側に防水加工が施されている懐紙もあり、水菓子などをのせる時は裏返して使います。

おしぼり、お茶、お菓子を出す順番

おしぼり、お茶、お菓子を出す際は、まず客間までお盆に載せて運びます。

そしてお盆を持ったままお出しするようなことはせず、お盆は下座側の、和室なら畳の上、リビングならサイドテーブルやテーブルの端に置きます。

またお客様の目の前にこれらをお出しして並べるときは、先に出したものの上を通過して別ものを出すことは「袖越し」というマナー違反になります。

遠い位置に置くものからお出しするよう気をつけます。

ですから来客の左側からお出しする時は、最初におしぼり、次にお茶、最後にお菓子をお出しします。

右側からお出しする時は、これとは逆にお出しします。

誤ってぶつかってしまわないように「失礼します」と声をかけながらお出しします。

来客の少し後方からお出しするのがマナーですが、場所の都合上難しい時は「前から失礼します」などひと声添えます。

出し終えたらひと言「どうぞ」と添えると、来客が手をつけやすいです。

なおワンプレートでお出しする時は、順番を気にせずに出すことができて安心です。

また来客が複数人の場合は上座から、1つずつ両手で持ってお出しします。

おしぼりを出すときの注意点

おしぼりは固く絞ってから一度広げ、巻き直してからお出しします。

また、おしぼりの色は出来れば白、なければ色の薄いものにします。

ケーキを出すときの注意点

ケーキのホイルは、使い終わりのフォークを包むために、つけたままお出しします。

またケーキのセロハンや個包装のお菓子の袋は、とってからお出しした方が食べやすいです。

黒文字、フォークの置き方は

羊羹や練り切をお出しする時は、黒文字(くろもじ)を添えます。

黒文字はお茶の席などで和菓子に添えてあるもので、来客1人に1本使うことになっていますが、つまようじとは少し違います。

黒文字は、クスノキ科の落葉低木で樹皮に香りがあり、まだら模様が文字に見えることから黒文字と呼ばれるクロモジの木を削って作られます。

お菓子に添える際には、お菓子がくっついてしまわないように水で清めてから適度な湿り気が残る程度に拭き、色を鮮やかにしてほのかな木の香りを出してから使います。

なお和菓子用のようじは黒文字だけでなく、竹や塗りのもの、ステンレス製などいろいろあります。

羊羹やきんとんには黒文字、葛餅などにはステンレス製の菓子ようじ、というように、来客が扱いやすいものを選んでお出しします。

黒文字は元々はお茶の席のために亭主が1本ずつ削って作っていました。

そして来客はその黒文字を懐紙に包んで持ち帰り、日付やお菓子の銘などを裏に書き記しておきました。

日本の風流な文化が息づく黒文字をさりげなく添えることで、粋な来客応対ができます。

なお、お饅頭や干菓子は手で割って食べる物なので、何も添えずにお出しします。

また黒文字、フォークは来客が取りやすい位置に置きます。

湯呑やカップの置き方で気をつけること

湯呑やカップを置くときのマナーとしては、湯呑の絵柄、茶托の木目、カップの持ち手に気をつけることがポイントになります。

湯呑のポイント

湯呑には日本茶や緑茶を入れますが、少し低い温度の方が美味しいので70~80度前後で淹れたお茶を湯呑の6~7分目入れて出すと、持ちやすく置きやすいです。

暑い時期に冷たいお茶をお出しするとき、蓋つきの湯呑にしてしまうと熱いお茶と勘違いされてしまう可能性があるので、蓋を外すかガラス製のものを使います。

置く時に冷たいお茶であることを言い添えるのもお勧めです。

淹れる時の量や温度、出し方などについては慣れることでスマートな置き方ができるようになるので、日常的に飲むようにしてみることも大切です。

なおお客様から見て湯呑みの絵柄が正面に来るように置きます。

茶托の木目

茶托の木目が横向きになるように置きます。

湯呑の底が濡れている場合は茶托にくっついてしまうので、拭いてから茶托にのせます。

カップの持ち手の向き

カップは、持ち手を来客から見て右側になるように置くと右利きの人が持ちやすくて良いですが、来客が左利きと分かっている時は左側にしても良いです。

最近のコーヒーカップは模様がきれいに見える方を来客に向けると、持ち手も自然に右側になるものが多いです。

来客の利き手や柄の向きが分からないことも多く、無地のカップもあるので、基本的には来客から見て持ち手が右側になるように置くのが無難です。

またスプーンはソーサーの右側に置きます。

まとめ

以前、お茶の席のお手伝いに呼ばれたことがあったのですが、その時はお茶の作法を全く習ったことがなかったので、お茶碗を洗うだけのはずでした。

しかし少しだけですが、お客様の前に出ることになり、焦って周囲を見回したりして、とても緊張してしまいました。

そんなとき先生が「作法よりまず“お客様に喜んでいただくにはどうしたら良いか”を思いやる気持ちが大事ですよ」と声をかけてくださいました。

マナーを覚えるのはもちろん大切ですが、相手を思いやる心を基にしたマナーを実践することでより良い来客応対ができます。

ぜひそれを心がけるようにしてください。

また、お菓子をお出しするなら、お客様のストレス解消にも心配りができるといいですね。

なおお菓子の盛り付けについては下の記事でも説明しています。参考にしてください。

⇒ 来客にお出しするお菓子はどう盛り付ける?

この記事が参考になったらシェアお願いします。これからも役立つ記事を書いていきます。

タイトルとURLをコピーしました